Googleアナリティクスを用いたレポート作成の実践的手順

Googleアナリティクスを用いたレポート作成の実践的手順

1. Googleアナリティクスの基本設定とデータ取得の準備

Googleアナリティクス導入の重要性

日本国内の多くの企業サイトでは、ユーザーの行動データを正確に把握し、今後のマーケティング戦略やサイト改善に役立てるため、Googleアナリティクスの導入が不可欠です。実際の導入手順を理解することで、効率的なレポート作成への第一歩を踏み出しましょう。

Googleアナリティクスの初期設定方法

  1. Googleアカウントの用意:Googleアナリティクス利用にはGoogleアカウントが必要です。
  2. プロパティの作成:Googleアナリティクスにログインし、「プロパティを作成」から自社ウェブサイト情報を登録します。
  3. トラッキングID発行:プロパティ作成後に表示される「測定ID(G-XXXXXXXXXX)」を控えます。

初期設定項目一覧

設定項目 内容 ポイント
タイムゾーン 日本時間(UTC+9)へ設定 データ集計時刻が日本時間になるよう注意
通貨 日本円(JPY)を選択 Eコマースの場合、売上金額が正しく表示される
データ保持期間 26ヶ月など任意で設定可能 長期間分析したい場合は延長推奨

トラッキングコード設置ポイント

トラッキングコードは、ウェブサイト全ページに確実に設置することが重要です。特に日本企業のコーポレートサイトではCMS(WordPress、MovableType等)を利用しているケースも多く、テーマファイルやヘッダー部分への設置が一般的です。下記の表は代表的な設置箇所の例です。

CMS名 設置場所例 注意点
WordPress header.phpまたは専用プラグイン利用 テーマ更新時に消えないようバックアップ推奨
MovableType 共通テンプレート(ヘッダー部分) 再構築忘れずに実施
静的HTMLサイト <head>タグ内に直接貼り付け 全ページ反映確認を徹底すること

設置後の確認方法

  • リアルタイムレポートで動作確認:アクセス直後、「リアルタイム」画面で自分のアクセスが計測されているかチェックします。
  • tag Assistant(ブラウザ拡張)活用:タグ設置状況やエラー有無も簡単に確認できます。
まとめ:基礎準備で押さえるべきポイント一覧表
ステップ名 主な作業内容
アカウント作成・初期設定 Googleアカウント取得・プロパティ登録・タイムゾーン/通貨/保持期間設定など
トラッキングコード発行・設置 ID取得・CMSやHTMLファイルへの貼り付け・全ページ反映確認など
動作テスト・確認 リアルタイムレポートやtag Assistantで正常計測確認など

2. 解析目的とKPIの明確化

ビジネス目標に基づく目的設定の重要性

Googleアナリティクスを使ってレポートを作成する際、まず最初に「なぜこのデータを分析するのか」という解析目的を明確にすることが必要です。例えば、企業のウェブサイトであれば、「商品の購入数を増やす」「問い合わせ件数を増加させる」など、ビジネスゴールに直結した目的を設定しましょう。目的が曖昧だと、どのデータを重視すべきか分からず、効果的なレポート作成が難しくなります。

KPI(重要業績評価指標)の設定方法

解析目的が決まったら、その達成度を測るための指標としてKPI(Key Performance Indicator)を設定します。KPIはビジネスやプロジェクトごとに異なります。以下は、日本国内でよく使われるKPI例です。

ビジネス目的 KPI例 詳細説明
ECサイトでの売上向上 コンバージョン率
平均注文単価
リピーター率
訪問者が商品購入まで至った割合や、一回あたりの購入金額、再購入してくれる顧客の割合など。
お問い合わせ件数増加 フォーム送信数
フォーム到達率
離脱率
問い合わせフォームまで到達し実際に送信された件数や、その過程で離脱したユーザーの割合など。
ブランド認知拡大 ページビュー数
新規ユーザー数
SNSシェア数
Webページ全体の閲覧回数や新たな訪問者数、SNS等での拡散状況など。
BtoBリード獲得強化 資料ダウンロード数
セミナー申込数
メール登録数
ホワイトペーパーやカタログなどのダウンロード件数、イベントへの申込件数、メルマガ登録者数など。

KPI設定時のポイント

  • S.M.A.R.T原則:KPIは具体的(Specific)、計測可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、期限がある(Time-bound)ように設定しましょう。
  • 現状把握:現在のデータを基準にし、無理のない目標値からスタートします。
  • 定期的な見直し:KPIは事業フェーズや環境変化に応じて定期的に見直しましょう。

KPIとGoogleアナリティクスとの連携例

KPIごとにGoogleアナリティクス上でトラッキング設定が必要です。例えば「コンバージョン率」であれば「目標(ゴール)」設定、「ページビュー」であれば「行動」レポート、「新規ユーザー」は「ユーザー」レポートで確認できます。それぞれのKPIがどこで確認できるか整理しておくと、効率よくレポート作成できます。

データ収集と指標の分析方法

3. データ収集と指標の分析方法

Googleアナリティクスを活用したレポート作成においては、まず目的に沿ったデータの収集と、主要指標の分析が欠かせません。日本の企業やウェブ担当者が特に重視する指標には、「ページビュー(PV)」「ユニークユーザー(UU)」「コンバージョン数」などがあります。ここでは、これらの基本的な指標を中心に、実際のデータ取得方法や分析手順についてわかりやすく解説します。

主要な指標の概要と重要性

指標名 概要 主な活用例
ページビュー(PV) サイト内で表示されたページ数の合計 人気コンテンツやトラフィック動向の把握
ユニークユーザー(UU) 特定期間内に訪問した個別ユーザー数 リーチ規模や新規/リピーター比率の分析
コンバージョン数 設定した目標(例:お問い合わせ・購入)の達成数 サイトの成果・ROI評価

データの取り出し方(Googleアナリティクスでの操作)

  1. Googleアナリティクスにログイン:管理画面から対象プロパティを選択します。
  2. [レポート]メニューから指標を確認:
    • [ユーザー] → [概要] で「UU」が確認できます。
    • [行動] → [サイト コンテンツ] → [すべてのページ] で「PV」が確認できます。
    • [コンバージョン] → [目標] → [概要] で「コンバージョン数」をチェックできます。
  3. データのエクスポート:画面右上の「エクスポート」ボタンからCSVやExcel形式でダウンロードし、レポート作成に利用できます。

基本的な分析手順

  1. 期間設定:分析したい期間をカレンダーから選択します。季節要因やキャンペーン期間など、日本独自のイベントも意識しましょう。
  2. 指標間の関係性確認:PVとUU、コンバージョン数を比較して、どこで成果が上がっているか、ボトルネックになっている部分はどこかを探ります。
  3. セグメント分析:「新規」と「リピーター」、「デバイス別」など、多角的に分けて詳細な傾向を把握します。
  4. グラフや表で可視化:エクスポートしたデータはExcelやGoogleスプレッドシートで整理し、日本語で見やすい表やグラフにまとめると社内共有にも便利です。

参考:PV・UU・コンバージョン数推移サンプル表(週次)

週次 PV(ページビュー) UU(ユニークユーザー) コンバージョン数
第1週 12,300 7,500 120
第2週 15,000 8,200 150
第3週 13,800 7,900 135
第4週 16,100 8,700 160
ポイント:
  • PVとUUの変化から集客施策やコンテンツ改善効果を評価できます。
  • コンバージョン率も合わせて算出すると、より具体的な改善案が見えてきます。(例:CVR=コンバージョン数÷UU×100)

このように、日本の現場でよく使われる各種指標を押さえつつ、定期的なデータ収集と分かりやすい可視化によって、誰でも納得できるレポート作成が可能になります。

4. レポートの可視化と分かりやすい共有方法

日本の組織文化に適したレポートフォーマット例

日本の企業や団体では、報告書やレポートは「見やすさ」や「わかりやすさ」が重視されます。特に、上司や関係者が短時間で内容を把握できるような構成が求められます。以下のようなフォーマットを参考にしましょう。

セクション 内容 ポイント
タイトル・目的 レポートのテーマと目的を明確に記載 シンプルで具体的に
サマリー 主要な成果や発見を箇条書きでまとめる 一目で要点が分かるように
データ分析結果 Googleアナリティクスで得た数値やグラフを掲載 図表中心で直感的に理解しやすく
考察・提案 データから読み取れる傾向や今後の施策案を提示 実践的な改善案も添える
付録(詳細データ) 必要に応じて詳細なデータ表などを添付 本編とは分けて見たい人だけが確認できるよう配慮する

グラフ作成のポイント(Googleアナリティクス活用)

  • 折れ線グラフ:アクセス数やCV数など時系列データの推移を可視化しやすいです。
  • 円グラフ:ユーザー属性(デバイス、地域、年齢など)の割合を示す際に有効です。
  • 棒グラフ:ページごとの閲覧数比較、流入チャネル別パフォーマンスなどに適しています。
  • ヒートマップ:サイト内のユーザー行動やクリックエリア分析にも便利です。

グラフ挿入時の注意点(日本向け)

  • 凡例や項目名は必ず日本語で統一しましょう。
  • 色使いはシンプルかつ見やすいもの(例:青・緑系中心)を選ぶと無難です。
  • 数値には単位(人、回、%など)を明記します。
  • A4横型1枚で収まる程度に簡潔にまとめると好印象です。

社内共有・プレゼンテーションのコツ

1. 事前準備と配布方法

  • PPT、PDF形式で事前配布することで、参加者が資料を予習できます。
  • Email共有だけでなく、社内ポータルサイトへのアップロードもおすすめです。
  • 紙資料を希望する場合はカラー印刷よりもモノクロ印刷でも伝わるデザインがおすすめです。

2. プレゼン時の説明ポイント

  • 要点→詳細→提案」の順で話すと理解されやすいです。
  • 専門用語には簡単な注釈を加えると親切です。
  • 質疑応答の時間を設けることで双方向コミュニケーションにつながります。
  • “次回までの宿題” を明確にしておくとアクションにつながりやすくなります。
▼ レポート作成・共有チェックリスト(例) ▼
項目名 確認内容・アドバイス
タイトル・目的明記 読む人が「何のためのレポートか」一目で分かるか?
図表/グラフ挿入済み 複雑な数字もビジュアル化されているか?
日本語表現統一 カタカナ英語ばかりになっていないか?
A4一枚要約 A4サイズ1枚でも全体像が掴める構成か?
PPT/PDF配布準備 PPTまたはPDFとして保存・配布できているか?

このような手順と工夫によって、日本国内の組織でもGoogleアナリティクスレポートを効果的かつ分かりやすく共有できます。

5. 改善提案とアクションプランの策定

Googleアナリティクスレポートから得られる改善点の特定

Googleアナリティクスで作成したレポートを分析することで、ウェブサイトやビジネスの現状把握ができます。例えば、離脱率が高いページやコンバージョン率が低いページなど、課題となるポイントを明確にします。

主な指標例と改善ポイント

指標 現状 想定される課題 改善提案
直帰率 60% ユーザーが興味を持たずにすぐ離脱している可能性あり ファーストビューの見直し、導線強化
平均セッション時間 1分未満 コンテンツに魅力が足りない可能性あり 記事内容の充実、内部リンクの最適化
コンバージョン率 0.8% CTA(行動喚起)が弱い可能性あり CTAボタンの配置変更や文言改善

PDCAサイクルを活用したアクションプラン策定方法

日本企業では継続的な改善活動が重視されており、PDCAサイクルは非常に有効です。Googleアナリティクスのレポートで見つけた課題ごとに、以下のようにPDCAサイクルを意識してアクションプランを策定します。

PDCAサイクルによる具体的な進め方

P(計画) D(実行) C(評価) A(改善)
課題を特定し、KPI設定・施策立案
例:直帰率5%減少を目標とする新しいLPデザイン作成計画立案
実際に新しいLPを公開し運用開始
例:A/Bテスト実施
Googleアナリティクスで効果測定
例:直帰率・滞在時間の変化確認
結果に基づき更なる改善策検討
例:追加ヒートマップ分析、別パターンテスト
社内共有とフィードバックの重要性

アクションプランはチーム全体で共有し、関係者からフィードバックをもらうことも大切です。社内ミーティングや週次報告書など、日本企業ならではの「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」文化を活用しましょう。